張替夏子の音楽ブログ。

張替夏子の音楽活動中心のブログです。

映画の感想

先日、好き嫌いについて書きましたが、そういえば好き嫌いをズバズバと言っていた人がいたなぁと思い出しました。

 

今日のブログは以下、映画の感想です。

 

フジコ・ヘミングの時間

 

以下ネタバレしていますので、観る予定の方はスルーでお願いします!

 

順を追うのは大変なので、覚えているところから箇条書きで…

 

・絵が上手いフジコさん
子供の頃の絵日記が要所要所で出てくるのですが、細かくて色遣いの素敵な絵。
フジコさんのお父様が画家なので、ばっちり血を受け継いでいますね。(ご本人にお父様の記憶はほとんどないそうですが…)
しかもお父様は日本でも活躍した広告デザイナーだつたのですが、娘の活躍死後ようやく日の目を浴びたというエピソードがエンディングに。
フジコさんは「天国にいるからね、会いたいです」と言っていました。

 

・愛ネコちゃんの名前が「ちょんちょん」
フジコさんはパリで3匹のネコと暮らしていましたが、そのうちの1匹のネコちゃんの名前が「ちょんちょん」で、呼ぶたびに可愛かった。
動物を愛するフジコさん。
こちらも「天国で会いたい」と言っていましたが、フジコさんのお祖父様、獣医さんだったので、やっぱり血を受け継いでるな〜と。

 

・物乞いに必ず寄付するフジコさん
映画の最初の方から時々パッと道端の物乞いにチップを渡すシーンが何度も出てくるので、パリで物乞いの姿を初めて見てショックを受けた自分としてはずっと気になるところだったのですが、フジコさんは必ずチップを渡しているとのこと。
「神様に試されてる」というような事を言ってました。
「天使が見てるから」だったかな?

 

・ワールドツアーにて、某国でA1サイズのミニグランドピアノを弾くフジコさん
なんだこりゃ、ありえん!と私も観ながら吹きそうになりましたが、ブエノスアイレスだったかな?
あまりコンサートの常識がないのかなんなのか、フジコさんほどのピアニストでもこんなハプニング(相手はハプニングだと思ってないだろうけど)があるんだなぁという驚きのシーン。
フジコさんもコンサート後のホテルで憤慨しつつタバコをふかしていましたが、こちらが常識だろって思うようなことも相手にとってはそうではなかったり、「本当に大事なところが届かない。聴く人が聴けば分かる。分からない人には全部同じに聴こえるんだろうからこれでよかったと思うんだろうけど」と言っていましたがまさにその通りで、音楽の現場ではしばしば起きてしまう事です。が、繰り返すようですが、フジコさんほどのキャリアのある方でもこんな目に合うこともあるんだと、ここは恐れ多くも勉強になりました。。。
マネージャーもつけない主義のフジコさんなので、いろいろなハプニングは受けて然りなところもあるのかも、、、ですが、あのA1サイズのピアノには目が点になりましたね〜〜…

 

・気の抜けた弾き方を実演するフジコさん
ツアー中も毎日4時間の練習を欠かさないフジコさん。
「今日はあなた(カメラマン)がいたからしっかりやったけど、気の抜けた練習のときもある」と言って、気が抜けたバッハのプレリュードを実演していたシーンが個人的には一番ウケました!
周りで笑ってる人がいなくて1人笑いをこらえましたが、中高時代に疲れて帰ってきて既に抜け殻になっている状態でピアノをさらう自分の姿に重なってしまったので(笑)

 

・絵描きとピアノ弾きは違う、と言うフジコさん
ピアノを弾くということは毎日毎日の訓練が必要だというお話。
「絵描きは途中で描くのをやめてまた再開出来るけど、ピアノは違う。1日サボって飲んだりしてたらすぐに弾けなくなる」
本当にその通り…。
絵描き=作曲(アレンジ)もそうだなと思って聞いてました。
演奏家の皆さんのように毎日何時間も訓練したり、本番前にメンタルのコントロールをする必要はないので、そういう面では同じ芸術でも全く違う日々を送っているかと。
書き手は違うところで禿げそうなくらい苦しみますが、演奏家の皆さんのような瞬間芸術に命をかけるような事はないので…
本当に尊敬です…演奏家の皆さま…!!

 

・海外や国内に沢山別宅があるフジコさん
思いがけずラフマニノフの生家が出てきました!
アメリカにも別宅があるフジコさんですが、
「あそこがラフマニノフの住んでた家」と言ってカメラでパチリ。
ライラック」や「プレリュード」を触りだけですが弾いているシーンが流れて嬉しかった♪
とにかく家が好きで、著名人が住んでいた家を見るのが好きと言っていたフジコさん。
「名前は残らなくていいから、私の家は残って欲しい」と言っていて、そんなこと1ミリも思ったことのない感性だったのでとても驚きました。
下北沢の別宅も出てきました。
「東京は景色がどんどん変わるから嫌い。下北沢も日本らしい小さいものがあるから良いのに。それに気づいてない。良いところに気づいてない」
と言っていました。

 

モーツァルトドビュッシーを弾くフジコさん
コンサートレパートリーとしてモーツァルトの「トルコ行進曲」とドビュッシーの「月の光」を弾いていましたが、あんなに重たいバージョンの2曲を聴いたのは初めて!(良くも悪くも)フジコさん流になっていたのはホントに凄いなぁ、と、フジコさんのリストやベートーヴェンを聴くよりもより強く年輪を感じました。
「月の光」は大学の時に結構真剣に分析しつつレッスンでもしっかりさらった覚えがあるので、もう一度弾いてみたくなりました。

 

・「好き」「嫌い」を口に出すフジコさん
映像で頻繁にフジコさんが「これが好き」「ヤシの木が沢山あって好き」「これは良くない」「嫌い」というつぶやきを聞きました。
フジコさんは歴史のあるアンティークな生地や家具が好きなことはその風貌から分かるほどですが、私も好き嫌いがはっきりしてるなぁと日頃から自分を客観視していて思っているので、なんでも口に出すフジコさんを見ていて面白かったです。
私も心の中で思うことを口に出したらこのくらい「好き」「嫌い」を何に対しても頻繁に言ってるだろうなー、と。。。

 

・「ゾッとしちゃった」が口ぐせのフジコさん
良いことも悪いことも「ゾッとしちゃったの」という言葉を何度も口にするフジコさん。
風貌も個性的ですが言葉の選び方も独特で、聞いていて飽きないです。全然関係ないけどフジコさんのラジオとかやってくれたら夢中になって聴く自信ある。

 

・子どもは反抗期があるけどネコにはない、というフジコさん
とにかく動物を愛するフジコさん。
結婚もせず子どももいないので、身寄りのない子を引き取りたいと言ったそうですが、1人ではダメだと。
それでネコや犬を飼うようになったそうです。
「人間の子どもは小さいうちは可愛いし幸せでしょ?でも大きくなると反抗期があって家を出て行っちゃう。でもネコは最後まで寄り添ってくれる」
とフジコさん。

 

・弟がキョーレツキャラな大月ウルフさん
そして最後に、フジコさんの弟、俳優の大月ウルフさん!
ウルフさんもフジコさんに負けないくらいの超個性的な面白いおじさんでしたが、ご自身が主催した京都でのフジコさんのコンサートのシーンはとても面白かったです。
始まる前にお客さんとコミュニケーションをとるウルフさん。ロビーにいたピアノを習っているという小学校高学年の男の子を見つけて、
「ピアノってのは(音楽ってのは、と言ってたかな?)男がやるもんなんだ!ショパンだって、リストだって作曲家はみーんな男だろ!女の作曲家なんていねーじゃねーか」
みたいな(笑)
いきなりそんなこと言われたって…と男の子もタジタジになっていたに違いない…
たしかに、小学生でも知っているくらい有名なクラシックの女流作曲家っていませんよね。

その時代に職業として成り立つのは男性作曲家だけだったのかも知れませんが、後世に名は残らなかったけど優れた女性作曲家は絶対にいたはずーー!!


そして最後にやっと、フジコさんの「ラ・カンパネラ」をエンディングまで聴けるのですが、ほぼドキュメンタリーな本編の最後なのでこれまたグッときました…!


フジコさんの人生(全然普通じゃない)、フジコさんとお母さんの関係(結構スゴい…)、ドキュメンタリーで垣間見れたフジコさんの長い人生には、やっぱりこの曲がピッタリなのね、と思う瞬間でした。

 

あと、めちゃくちゃ細かいことですが、新しいピアノを前にしてフジコさんが初めて出した音がA minorだったことに、
「ですよね〜、間違ってもmajorじゃ、ないんだよね〜」

と、たまたまかも知れませんが妙に頷いてしまいました。

 

超個性的、超個性派のピアニスト、フジコヘミング。
彼女の生き様がそのまま現れているかのような演奏は唯一無二の音楽であり、自分も今の年齢だからこのように受け止められているのだと思います。

 

これからもフジコさんの演奏、フジコさんの世界を垣間見ることが出来たら嬉しいなと思いました。